2025.12.27
【テナント紹介】胡桃匠店 ~店主 寺井良夫さん~
岩手の“くるみ文化”を味わうならここ。香りと温もりが迎える小さな店。
通路を歩いていると、思わず足が止まってしまうような、やわらかな存在感のお店があります。棚も什器も店主・寺井さんの手づくりで、「少し不揃いな感じが、かえって良いんですよ」と笑う寺井さんの言葉どおり、温かい店内は、並ぶ商品をより引き立てています。かつて盛岡市役所の1階で店を構えていた寺井さん。「ここからまた始めよう」そんな再出発の場として、この場所を選びました。

震災から生まれた“くるみの仕事”
寺井さんたちの活動は、東日本大震災直後、支援物資を配るところから始まりました。しかし半年ほど経つと、生活が少しずつ落ち着く一方で収入の必要性が浮かび上がり、「働ける場をつくらなければ」と強く感じるようになります。そこで着目したのが、岩手の人々にとって昔から“ごちそう”として親しまれてきた「くるみ」でした。くるみは手間がかかります。割るだけでも驚くほど大変です。しかし、その手間こそが価値につながります。震災直後の多くの応援という“追い風”の中で挑戦し、拾ったくるみを商品へと生まれ変わらせる仕組みが生まれました。

看板商品「くるびあんじぇ」と、唯一無二の“くるみ文化”
店を訪れると、まず香ばしい香りが漂ってきます。看板商品の「くるびあんじぇ」は、県内で拾われたくるみを贅沢に使い、素材の風味をそのまま感じられる焼き菓子です。岩手ではおいしいことを「くるびあんじぇ(くるみあじ)する」とも表現するそう。店内では、くるみを使った食品だけでなく、籠やくるみ割り器など、くるみにまつわる品々も幅広く扱っています。とくに「くるみ割り器」は驚くほど人気で、割れた瞬間の「パカーン!」という感動から、そのまま購入していくお客様も多いのだそうです。“岩手のくるみ好き”が生んだヒット商品といえます。

たみっとで届けたいのは、“自然の恵みの尊さ”
たみっとに店を構える理由について尋ねると、寺井さんは「盛岡という土地の情報発信力は大きい」と話します。多様な人が訪れる場所だからこそ、岩手の自然がくれる恵みや、震災から続く歩みを自然な形で伝えることができると感じているそうです。「復興だから買ってほしい、とは思っていません。くるみそのものの素晴らしさを感じてほしいんです」。手間ひまかけて向き合うくるみの価値、自然の恵みの奥深さ。寺井さんの思いは、ひと口で広がる香ばしさとともに、確かに届いてきます。

